(2)高齢化社会の到来ならびに医療費負担増大への対応
近年における科学や技術の進歩に伴う高齢者人口の増大は世界的な傾向であるといえます.中でも,日本における高齢化は大きな特徴を持っているといわれています.
それは,高齢化の到来が非常に短い期間に進行したということ,ならびに若年層人口が激減しているということです.
日本は,このような急激な変化のスピードについていけず,高齢化への対応が遅れてしまったといっても過言ではありません.
そして,このような対応の遅れは,国民の医療費負担増大という形で現れているのです.
少し古いデータですが,1993年度の国民医療費は,一人あたり\195,000であり,このうちの42%は老人医療費なのです.
このようなことから,国民医療費,とりわけ老人医療費への対応策が重要だといわれています.
医療は,私達の健康保持には必要不可欠なものであります.しかしながら,各個人の日常的な健康促進を直接的に推進するものではありません.つまり,自分の健康は,日常的な努力によってのみ実現できるものなのです.
健康の捉えかたは,「年齢,性,境遇によって異なり,常に流動的なもの」(大塚正八郎)であるといえますが,高齢化社会という観点から健康を捉えた場合,健康とは「自分の意志によって自由な行動(活動)が出来ること」と考えることが出来ます.
自由な行動(活動)は,日常的な身体活動,すなわち運動やスポーツ(活動)によってのみ確保出来るものなのです.
このようなことから,高齢化社会におけるスポーツ(活動)は重要な営みであるといえる訳です.
また,高齢化社会への対応として忘れてはならないのは,いわゆる高齢者予備軍と呼ばれる壮年層を中心とする人々の健康増進であるといえます.
このような人々の積極的なスポーツ活動は,生活習慣病の予防をも伴い,高齢化に対応した社会づくりに繋がるものであると考えられます.
従って,スポーツ指導者は,老年層を中心とする多くの人々のスポーツ活動への参加を促し,豊かな社会を構築する役割を担う必要があるといえるのです.