選手が最高のパフォーマンスを発揮するためには,選手のセルフ1を静め,セルフ2が自由に力を発揮出来る状態を作り出さなければなりません.そのためには,普段の指導方法を変える必要があるとゴールウェイは考えました.
通常の指導方法は,体重のかけ方,ラケットの高さ,腕の伸ばし方など飛んできたボールに対して身体を動かしそのボールをキャッチ(ミート)するといった,身体の「反応」に関する指導だけだといえます.
しかしながら,例えばテニスは,相手と行なうスポーツであり,さまざまな状況の中でボールをキャッチ(ミート)しなければなりません.そのためには,ボールがどの方向からどの角度で飛んできた,とうような「知覚・認識」も重要な要素になります.
従来の「反応」に関する指導を中心とした指導方法は,この「知覚・認識」に悪いイメージを植え付けてしまう可能性があるのです.
「知覚・認識」が悪いイメージによって歪められていると,すなわち,苦手な方向にボールが飛んできたというようなセルフ1が「知覚・認識」に作用してしまうと,不安や緊張によってスムースに身体を動かすことが出来ず,「反応」が阻害されやすくなってしまいます.
ゴールウェイは,知覚・認識にセルフ1が作用しないようにすると,反応も改善され,それがよい自己イメージを形成し,よい結果出るようになることに気づきました.
そして,知覚・認識を行なう時に,何らかの変数(パラメータ)に意識を集中させると,セルフ1が静まり,セルフ2が自由に力を発揮することが出来ることを発見しました.
何らかの変数とは,例えばボールの回転に集中させるといったような,反応とは直接関係のない事象のことであり,単にボールが飛んできたことのみを知覚・認識させるものです.
つまり,スポーツ指導者は選手のパフォーマンスの良し悪しの判断や評価をはさまずに,選手がありのままの姿(状態)を認識できるよう,すなわち健全な自己イメージが形成出来るような指導を行なう必要があるのです.
ここで,注意しなければならないのは,選手の中で形成しなければならないのは健全な自己イメージ(ありのままを認識すること)であって,プラス思考などによって自己イメージをポジティブにすることではありません.ゲームの場合においては,自己イメージをポジティブにすることも必要ですが,普段の練習の中で自己イメージをポジティブにすることは,さまざまな問題点を含んでおり,注意しなければなりません.