多くのプレーヤーが無心にプレーすることを妨げているのは自らが心の中で作り出す雑音であることが分かりました.
そこで,ゴールウェイは,選手の心の中の雑音(選手自らが行なう指示やフィードバック)を取り除き,無心にプレーできるようにするための方法を模索していきました.
まず彼は,多くのプレーヤーにとってプレーの妨げとなっている,心の中で選手自ら行なう指示とフィードバックは,誰が誰に対して行なっているものなのかを考えたのです.
ゴールウェイは,指示や命令を下している自分を「セルフ1」と名付け,指示や命令を受けている自分を「セルフ2」と名付けました.「セルフ1」は,指導者が選手に向ける指示や命令,助言,評価といった,「外部の声」が,選手の中で内面化されたものであり,一方の「セルフ2」は選手自身です.「セルフ2」はいわゆる本能や潜在能力といったものを持ち合わせています.しかしながら,「セルフ1」はこれまでに与えられた「外部の声」が作り出したものであり,外部の声に基づく思考回路や能力しか持ち合わせていません.いい換えると,外部環境によって形成された固定観念や苦手意識といったものです.
そして,このような「セルフ1」と「セルフ2」の関係が選手の最高のプレーを妨げる原因となっていることをゴールウェイは見出したのです.
例えば,外部環境によって「バックハンドショットが苦手だと」いうイメージが形成されてしまっている選手は,その方向にボールが飛んでくると「苦手なバックハンドだ,ラケットの中心でボールを捕らえるようにしなければ」と思い(セルフ1),セルフ2を制御してしまいます.結果として,スムースな身体の動きがとれず,案の定ミスをしてしまい,そのことがさらにセルフ1を大きくしてしまうのです.
選手に最高のプレーをさせるためには,セルフ1を静め,セルフ2が自由に力を発揮出来る状態を作り出してあげる必要があるのです.