Vol.6:ティモシー・ゴールウェイのコーチングメソッド(1)
現在,ビジネスの分野におけるマネジメント手法として,「コーチング」という手法が注目されていますが,その最初のきっかけを作ったのがティモシー・ゴールウェイだといわれています.

ゴールウェイは,テニスの指導を通じて得られた洞察に基づき,画期的ともいわれるテニスの指導法を確立させ,その手法を「インナーゲーム」と名付けました.このインナーゲームは後に「インナーゲーム オブ テニス」(邦題名:インナーゲーム)という1冊の本にまとめられ出版されました.

この本は,テニスの指導書としてのみならず,各スポーツ,ビジネス,創造性開発,人間関係改善,子育てに至るまで,幅広い分野における指導書として広く参考にされています.

ゴールウェイは,テニスの指導中に「人間が何かを意識すると,心や身体がぎこちなくなるのはなぜだろう」ということに疑問を抱きました.
そして,プレーヤーの心の中を洞察していくようになりました.その結果,ある一つのことが分かったのです.

多くのプレーヤーは,必ず,1つ1つのプレーに対して,自ら心の中で指示やフィードバックを行なっているのです.例えば,ボールを打つ前には「ボールから目を離さず,ラケットの中心でボールをとらえろ」というような指示を,そして,ボールを打ち終わった後には「こんな平凡なショットではダメだ!」というようなフィードバックを行なっているのです.
そして,これらは,指導者が選手に対する指導の中で,日常的に行なわれている指示やフィードバックであることにも気づきました.
ゴールウェイは,選手が自ら心の中の行なっているこのような指示やフィードバックは,プレーの妨げになるのではないかと考え,また,このような状況を選手の心の中に作り上げてしまう指導はよくないのではないかと考えました.

多くのプレーヤーは,最高のプレーが出来たとき,「無心だった」という言葉を口にします.しかし,これまで日常的に行なわれていた指導方法は,選手の心の中に,先に述べたような雑音(指示とフィードバック)を生み出し,選手が無心になることを妨げている原因になっているのです.

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