Vol.6:正しい評価とは(2)
スポーツ指導者が対象としているのは,人間の身体活動によって得られる事象です.
従って,スポーツの指導を行なう上では,人間の身体や身体活動に関する深い知識が必要になります.データを評価する上で,人間の身体や身体活動に関する知識がないことは,時として誤った判断を下してしまう可能性があるのです.

例えば,安静時心拍数は,オーバートレーニングの兆候を判断する上で非常に有益なデータであることが知られています.
一般的に,極度の疲労状態や,前日のトレーニングから十分な回復がなされていない場合において,安静時心拍数は通常より高い値を示すことが知られています.
一方で,トレーニング(特に持久的トレーニング)に対する適応によって,安静時心拍数は徐々に低くなる傾向がみられます. しかしながら,稀なケースですが,オーバートレーニングによって自律神経に変調がみられる場合,副交感神経が優位に働きすぎて安静時心拍数が低い値を示すことがあります.
この状態を,トレーニングに対する適応として評価してしまうことは非常に危険なことなのです.
もちろん,他のパラメータ(体重など)を評価することなどによって,このような間違いは回避することが出来ますが,対象とすべきパラメータのデータがない場合においては十分な注意が必要になります.

このように,スポーツ指導者は,人間の身体や身体活動に関する深い知識を有することが必要なのです.

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