データはただ単に蓄積・管理するためだけのものではありません.意思決定をするために使用される,すなわち情報として取り扱われるためのものです.データを情報として取り扱うためには,データを適切に評価するということが重要になります.
データを評価するためには,さまざまな手法が存在します.代表的なデータの評価方法としては統計処理が挙げられますが,統計処理といっても複雑な処理ばかりではなく,普段私たちがよく目にする(耳にする)平均値も統計処理によって導きだされる値の一つです.
しかしながら,スポーツ指導者が対象としているのは選手,すなわち人間です.既に述べた通り人間は,非常に複雑で神秘的なシステムを有する生物なのです.
従って,統計処理,すなわち単なる数字の計算から導き出された数値によって,データを評価することは,時として意味のないものになってしまう可能性や間違った判断を下してしまう可能性を秘めているのです.
例えば,日々測定される安静時心拍数の月間平均値を導き出したとしても,それは時として意味のないものになってしまいます.安静時心拍数は,日々変動する動きを読み取り,それを基にオーバートレーニングの兆候などを判断することが重要であり,日々変動する安静時心拍数の平均値はそれほど重要なものではないと考えられます.
しかし,決して意味がないという訳ではありません.例えば,トレーニングを開始して間もない選手や間もない時期において,トレーニングに対する適応を評価する上で,安静時心拍数の平均値を対象にその傾向を判断することが出来ます.
このように,スポーツ指導者は,意思決定の内容などに応じてデータを適切な方法で評価することが必要だといえます.